突然ですが『食前感謝の言葉・食後感謝の言葉』というのを知っていますか?
食前感謝の言葉:
『箸とらば天地御代の御恵み、父母や衆生の御恩味わえ、天地一切の恵みと、これを作られた人々のご苦労を感謝します。いただきます!』
食後感謝の言葉:
『箸をおくたびに思えよ報恩の、道におこたりありはせぬかと、、、、、、、ごちそうさまでした!』
という言葉です。変な宗教とか教えとかではなく年配の先輩などは馴染みがあるかもしれません。
私がこれを知ったのは30年ほど前に同時70歳の方からですので、100年前ぐらいの言葉なのかもしれません (笑)
久しぶりにこの食後の言葉を思い出して、『道におこたり』ない人生を過ごせているかな?って顧みてしましました。(笑)
皆さんはスラスラ読めましたか?
読みずらい感じや意味不明の言葉も並んでいますよね。
詳しくは解説しませんが、何となく言いたい事は伝わりますよね!
今より食が豊かではなかった何十年も前、私たちのご先祖様達は日々の食を頂くことに感謝し、食前・食後にこれらの言葉を復唱していました。
私はとても素敵な事だと思いました!
古今東西、時代が移ってもエバーグリーンの普遍性を感じますし、これからの末来にも残したい言葉の一つです!
そして、大切な事を教えてくれる言葉でもあるし、みんなにも知っていただきたいなって思って記載しました!
新渡戸稲造先生のベストセラー『武士道』の道徳心や、昨今の『日本のおもてなし』、『日本のホスピタリティ』、『もったいない』などの言葉にも通じるものだと思っています。
『食前感謝の言葉』を思いついたのは、新渡戸文化学園が包括協定を結んでいる『全日本食学科会』とのコラボ企画の関係で、表参道にある『てのしま』というミシュランの星を持っているお店の店主、林シェフとのMTGのおり、
『お膳の一番手前に箸が横に置いてある意味を知っていますか?』って言われて思い出したのでした。
ちなみに林シェフの答えは・・・・所説ありますが『箸を一番手前に横に置く行為は、箸が生と死を隔てる意味で、箸のこちら側は生きている自分自身で、箸の向こう側は私達のために命を分け与えてくれた大地の恵みである食物達を表しており、そこに対して生命をいただきます!という事で食物達に感謝を表す行為』との事でした。
言っている事がとても似ていたので、『食前感謝の言葉』を思い出したのでした!
農作物を育ててくれる農家さん、その農家さんを支える大地や雨や風。
農作物を運んでくれる流通の方々、その農作物を販売してくれるお店の人、その農作物を料理してくれる方々、その調味料や盛り付ける皿や食べる箸を作ってくれる方々。携わってくれた全ての方々を育ててくれたご先祖様達。
この連鎖こそが『文化であり、素敵な食文化』の一つだと、私は思います。
でもその連鎖も崩れ始めている事実があります。
よく、食の業界では『●●ポリスがいる』って言われるらしいです!(笑)
もう少し詳しく話すと、だしの取り方は●●でなければいけない! とか、 魚の締め方は◆◆でないといけない!
あなたの行っておることは間違えですよ! そんな間違った情報を拡げないでください! などと電話をかけて来り、
メールやSNSでコメントをしたり、酷いとお店に張り紙をしたり等 です。
確かに伝統は大切ですが、時代に合わせて変えていい部分は変えてもいいって私は思っております。
『食前感謝の言葉』を昔にならって復唱するとか、箸を生と死の境に横に置くとか、もちろん出来ればいいですが、
その意味や想いを持ってさえいれば、『食前感謝の言葉』を言わなくても、箸がスプーンになっても、場合によっては箸を縦においてもいいって思っています。
ただ、それを仕事にする場合は『知らなかったからやれなかった』ではなく、『知っているが、●●の必要性を感じないのでやらない』や
『心の中では行った上で、割愛した』など、大前提としては『知っていること』が重要だと思います。
そんな食文化は新渡戸では空気を吸うように普通にある日常なので、色々な先生が自然にレクチャーしてくれるのでご安心ください。
更にというと、その深さ、広さでは自慢の講師陣がいます!
食文化と言えばこの人、森枝卓士先生。多くの先生方でさえ森枝先生の講義を聞きたい!っておっしゃる程です!
また、森山たつを先生は海外の食ビジネスに精通しており、食文化を通してビジネスを志向する方には最適です!
◆これからの食の世界◆
昨今、ニュース報道などでも話題に上がりますが、食の世界では様々な事が起こっています。
その中でも今回は、後継者不足、在来生物や植物の減少、生産需要と供給のミスマッチなどの件を深堀してみます。
私は以前、プロモーションや販促の仕事をしていた時代、きものに携わる職人の取材や撮影なども多く手掛けてきました。
そんな折、型紙職人の後継者問題が深刻で、今後は手間のかかる『新しい型』を作る事が出来なくなるとの話を聞いたことがありました。
同じように染め織に関しても同様に後継者不足で、世の中のニーズとが合わず、クオリティが高い職人の染め物より、インクジェットなどでの印刷が主流になってしまった事実も聞きました。
和服から洋服に変わってきた時代の中で、きものはシュリンクしてしまったのでした。
同じ様なことが食の世界にも起こり始めている様です。
海水温の変化で養殖できなくなってしまったり、磯焼けなど海中が健康的な環境ではなくなって生き物がいなくなってしまった。
昨今の海水温の異常などで、元々その土地で採れていた魚種が採れなくなってしまった。
また設備は魚種毎に違うし燃料代の高騰で漁に出る回数も制限されてしまった。
後継者が高齢化で、かつ若者は地方を離れ都会での便利な生活を選択している。
食生活の洋風化、ファストフード化で魚を食べる人が減ってきた。
他諸国のニーズの高騰で、大量漁獲や乱獲により魚自体が採れずらくなった。
これらは漁業に関しての事例の一部ですが、同じように酪農家、農作物の農家などにおいても同じ様な現象が起こっています。
例を挙げると、今まではコシヒカリという品種がぴったりの土地であったのに、温暖化で発育状況が合わずもっと温帯で育つ新種の品種改良に着手したなどや、あまりに暑くて牛がお乳を出せなくて牛乳の出荷が滞ってしまったなどです。
こんなクリティカルな状況の中、私達はどうやって世の中を渡っていくべきでしょうか?
あきらめる、逃げる、考えない、対策を考える、戦う、抗う、無視する などなど。
これらはどれも正解です。
でも、私達人類は可能性を持っている生き物です。
手足があり、思考するのに充分なサイズの脳を持っています。
皆さんはどれを選びますか?
もし対策を考える、戦う、抗うを選択されるのであれば、一緒に新渡戸で学んでいきましょう!