新渡戸文化短期大学卒業生の皆さまへ

臨床検査学科卒業生の皆さま
 新型コロナウイルス感染症への対応に、日々、臨床検査技師として最前線でご尽力されている皆さまへ感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。現在なお、防護衣などの感染防護具や消毒薬が不足する中で、医療の現場に出ておられる方々は、不安と緊張の日々を送っているのではないかと案じております。
 皆さまのおかげで、日本の感染拡大の第二波は収束を迎えつつあります。わたくしたちは医療現場や検査センターでの皆さまの活躍を大変、誇りに思っております。特に、検体採取や、手作業では面倒で時間がかかるRT-PCR検査に、昼夜を問わず貢献されてきた方々には本当に頭が下がります。一方、世界の多くの国で既に導入されている全自動PCR検査システムは日本の技術が支えているにもかかわらず、国内での認可が遅れていたことを、非常に歯がゆく感じておりました。一刻も早くRT-PCR検査が自動化され、検体も唾液採取など、より安全な採取方法に替わり、皆さまのご負担が軽減されることにより、本来の検査業務が正常化することを願っております。今回、新型コロナウイルス感染症への対応で、これまで目立たなかった臨床検査技師の業務が図らずも脚光を浴びることになりましたが、わたくしたちは、PCR検査以外にも様々な検体検査や生理学的検査が今日の医療を支えており、正確な診断や治療方針の決定に不可欠なデータを医療現場に提供していることをよく存じております。わたくしたちは皆さまのことをいつも心に留め応援しております。まだまだ予断を許さない状況ですが、新渡戸稲造先生の「焦らないで、緩まないで」の精神をもとに、お過ごし下さい。

生活学科卒業生の皆さま
 新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスク・ファクターには、高齢、慢性呼吸器疾患や心血管系疾患以外に、肥満や糖尿病、高血圧症などがあることが判ってきています。特に肥満や2型糖尿病、本態性高血圧症は、その重症度にかかわらず、食事療法や運動療法が治療の基本であり、それに薬物療法が補助的に加えられていきます。糖尿病では血糖値のコントロールが重症化のリスクを下げることができることも判ってきています。栄養士、さらに管理栄養士となって活躍されている皆さまは、病気の有無に限らず、多くの人々の食事や栄養の指導において、まさに縁の下の力持ち的存在であり、非常に重要な貢献をされている大切な方々です。
 日本では人口に対する新型コロナウイルス感染症による死亡者の割合が、諸外国に比べて非常に低いことが注目されています。国民皆保険制度による医療へのアクセスが良いことや衛生的な生活習慣、人種差、類縁コロナ感染症への免疫の既得など諸説がありますが、それらに加えて、小児から高齢者に至る日頃の食事指導や病気の方への栄養指導が行き届いていることもその一因ではないでしょうか。
 幼稚園教諭ならびに保育士の業務に携わる皆様におかれましては、緊急事態宣言下においても、医療関係者など在宅勤務が困難なご家庭のお子様のお預かりや、保護者とのご対応に、不安と緊張の中で活躍されてこられた方もいらっしゃると思います。緊急事態宣言の解除後も、園内での感染防護対策や子供の心のケアに気を配っておられると拝察いたします。ストレスを感じたときは、まずは沈黙し、本学の教育理念である3H精神「活(はたら)く頭」、「勤(いそし)む双手」、「寛(ひろ)き心」を想い起こしていただければと思います。
 皆さまのご活躍に敬意を表すると同時にエールを送りたいと思います。

2020年6月8日

新渡戸文化短期大学
 学長 木村 直史